受付・採血室

採血業務手順書
1. 目的
検査技術室において、採血業務を実施する際の手順と注意事項を記載した文書。

2. 適用範囲
検査サービスの内、採血業務の応対について。

3.採血室業務マニュアル
1)受付
1)診察券をreaderで読み込む。
2)整理券が打ち出される。 *1
3)診察券と整理券を患者に渡し整理券番号でお呼びすることを伝える。
4)車椅子使用患者は「車椅子」の札に整理券番号を記載し採血ラックに入れる。
また車椅子専用採血台に誘導する。
*1:診察券にある患者情報
   整理券に下記の情報が印字されます「赤丸」を付けて患者に渡す。
   アルコール禁:「アル禁」に赤丸をつけて患者に渡す。
   EDTA凝集:「EDTA」に赤丸を付けて患者に渡す。
整理券に以下の情報をメモ書きし患者に渡す。
   治験:治験用採血指示に従い採血を行う。(治験用袋に採血本数が書
   いてあります)
     「治験のみ」の場合と「治験十院内採血」をする場合あり。
     「治験のみ」、「治+院内」と整理券にメモ書きし患者に渡す。
   白伝:電算オーダー出来ない項目があります。手貼りラベルは出ないの
   で検査受付者に問い合わせてください。
     「白伝あり」と整理券にメモ書きし患者に渡す。
     白伝に整理券番号を記入し検査受付者に渡す。
   クロス:クロス用採血の指示表とラペルを持参しますので患者に渡し採
      血時に出すように説明する。
     「クロスあり」と整理券にメモ書きし患者に渡す。
   蓄尿:蓄尿指示票と蓄尿ボトルを受け取り検査受付へ提出(身長、休重の
      記載がない場合は身長・体重を測定してもらう)

2)患者の呼び出し
1)採血ラックに準備された採血管、手貼りラベルの内容と呼び出し用に印宇された
  採血オーダ内容がー致しているか確認する。*2
注:呼び出し用ラベルのオーダ数(「02」、「03」)にレ点でチェックをいれ、採血する本数を記載して下さい。採血管の名前が正しいか1本だけでいいので確認する。
2)手貼りラベルは種々ありますので分からない場合は検査受付者に問い合わせる。
3)患者呼び出し用ラベルのバーコードを採血台上のreaderで読み整理番号を表示させる。
4)整理券番号と患者氏名で患者を呼ぶ。
5)採血する前に整理券番号と患者氏名を確認する。患者氏名は患者自身で言っていただく。話せない患者や同姓同名患者に十分気をつける。

*2 2オーダ以上ある場合
  呼び出し用ラベルに赤字で「02」、「03」‥・印宇されます。
  「02」は2オーダあるので次のラックまで一人の患者分です。
  「03」は3オーダあるので次の次のラックまで一人の患者分です。
  採血管が重複している場合は検査受付者に問い合わせする。

注:1オーダ内に10本以上の採血管が準備された場合
    ラック内は10本までで11本目からは次のラックになります。
    この場合2オーダ以上のように「02」、「03」と印字しません。
    呼び出し用ラベルに10本の採血管が印宇された場合は、次のラックが同一患者でないか確認して下さい。

3)採血
1)患者への院内感染防止のため採血時は必ずゴム手袋を使用する。
2)翼状針を装着する。
3)アルコール綿で消毒し採血する。
  (「アル禁」の患者はワンショットヘキシジンにて消毒)
注:採血の終わった採血管は速やかに静かに転倒混和を行う。
    空ラックを用意し採血が終了した採血管は移していく。
(ラックの中に未採血と採血管済みは混在しないこと)
4)採血終了時、採血担当者が初期止血(30秒程度穿刺部を押さえる)し、止血パットを貼る。さらに揉まずに5分程度、止血パットの上からしっかり押さえてもらうように患者に伝える。

4)採血時の注意
 1)EDTA凝集:血Iの採血管内の抗凝固剤(EDTA)により血小板が凝集を起こしてしまう。
       この場合はシリンジ採血で生血を迅速検査に使用します。
       整理券に「EDTA」と書かれている患者の探血時は検査受付に申し出てください。
 2)好中球シリンシ゛:手貼りラベル内に「好中球NAシリンジ」と書かれていた場合
       シリンジ採血で生血を標本作成に使用します。
       採血する前に検査受付に申し出てください。
 3)出血時間:手貼りラベル内に「出血時間」と書かれていた場合
       採血と同時に検査しますので、採血する前に検査受付に申し出てください。
 4)乳酸・ピルピン酸:手貼ラペル内に「乳酸・ピルビン酸」と書かれていた場合、特殊採血管を使用し強混和が必要なので、採血する前に検査受付に申し出てください。
(真空採血出来ません。)
 5)アンモニア:アンモニア採血がある場合、室温で放置すると経時的に上昇してしまうため、採血後すぐに冷却遠心する必要がありますので、採血前に検査受忖に申し出てください。
 6)血沈:血沈の採血管は陰圧が弱いため、他の採血管に比べて時間を要します。
       血沈の採血管は外管と内管2雇構造になっています。
       採血する際には内管の底をしっかり押してください。
       必要量は外管にある5mm幅の曇ガラス様の線まで採血して下さい。
  7)治験採血:治験の採血がある場合は、治験血液外注の手貼りラベルが出力されます。
       その場合は患者様が採血時に提出する治験用採取管分の採血をお願いします。(ラベルはそのままトレイの中にいれて検査室に提出)
       院内で行う採血検査がある場合は合わせて採血をお願いします。
       外注依頼書に採取本数が記載されています。採血忘れの無いように確認をお願いします。
       採血後、外注依頗書と採血管をあわせて検査室に提出してください。
8)化学療法採血:化学療法採血がある場合は、化学療法の手貼りラベルが出カされます。この場合は大至急を知らせる為のラペルですので、このラベルを採血する必要はありません。

     注:血2-黒、血沈、IF-γの採血は採血量を厳守して下さい。
       翼状針を使用する場合はルート分のAirが入ってしまい採血量が足りなくなります。血2-黒または血沈、IF-γのみのオーダの場合は、依頼中止の採血管でAirを抜いてから採血して下さい。
     注:血2-黒:血2-黒の採血順番は原則的に2番目に採血する。

5)採血手技
1)血液検査及び凝固検査用検体は、「JCCLS標準採血法ガイドライン」に準拠して静脈穿刺により採取するのが一般的である。
・採血時の溶血を防止する為、23Gより細い注射針は使用しない。
・駆血時間が長引くと血液凝固反応が活性化する為、原則として駆血後2分以内に採血を終了する。なお、検査項目(血小板第4因子、βトロンボグロビン等)によっては駆血帯を使用せずに採血する方が望ましい。
・検体に組織液が混入すると血液凝固反応が活性化するため、注射針の先端が確実に血管内へ挿入された状態で採血すべきである。
・特にTAT検査は、採血時の不具合により偽陽性となることが多い。
・一般血液検査(血球数算定など)用抗凝固剤としてはEDTA-2K、凝固検査用抗凝固剤としてはクエン酸Naが最も多く用いられる。いずれの抗凝固剤が入った採取用試験管も検体注入後5回以上穏やかに転倒混和する。混和不十分の場合には凝血塊や血小板凝集塊が形成され、過度の激しい混和では溶血が生じる。
・EDTAはキレート作用により好中球アルカリホスファターゼ(NAP)を失活させる為、NAPスコアの判定には適さない。
・ヘパリンは血小板凝集を起こすため、自動血球計数機で測定すると血小板数が1/2~1/3に減少することがある。
・凝固検査用検体は9:1の比率で全血とクエン酸Naを混和するのが原則であるが、概ね規定量の±10%以内であれば許容範囲内である。検体量が少ない場合や多血症検体(ヘマトクリット55%以上)では被検血漿に対して相対的にクエン酸Na濃度が高くなる為、各種検査結果は総じて低値(凝固時間では延長)となる。
・血清FDPの測定には専用採血管が必要である(血漿FDPは一般的な凝固検査用採血管で検査可能である)。
・点滴チューブから採取した血液検体は輸液により希釈されている可能性がある。※
・ヘパリンの混入はAPTT延長等の凝固検査結果異常を来すため、特にヘパリンロック部位からの採血時にはヘパリンの混入がないよう注意を要する。
・脂肪乳剤の混入した検体では、自動血球計数機で白血球偽性高値となる場合がある。
・生化学検査でも希釈による測定値の低下が起きるが、輸液の内容によっては、測定値が高値となる場合(糖・電解質など)がある。  

◎正しい検査成績を得るための検体の再採取を躊躇しない。再採取は適正な診療が行えるので患者の為になります。

6.採血の流れ
1)採血前準備
(1)採取管準備システム(BCROBO)より、準備された採取管(基本的に1トレイ/1人分)を取る。
(2)ワークシート上の採取管本数と採血管をあわせる。手貼り用ラベルがある場合は、必要な採血管を準備して、ラベルをていねいに貼る。(注1)(2オーダ「2」、3オーダr3」に注意
(3)患者呼ぴ出し用バーコードをReaderに読ませ、掲示板に表示するとともに「○○番でお待ちの○○○○様」と採血待ち恚者を呼出す。
◎患者様が採血會に座り、準備ができるまでの時間を利用して‥‥‥‥‥‥‥‥
   ・グロープをはめる。(患者毎に必ず交換すること)

7.注意事項(接遇)
1)本人であることの確認のためにお名前を言っていただく
2)患者様個人への敬意をもって、お名前で呼んで接する
3)気持ちよく検査に協力してもらうためにやり方や内容を説明する
4)お待たせしました、お大事にして下さい等の始めと終わりの声かけを忘れない
5)綺麗な日本語あるいは敬語で話すことを基本にこころがけましょう

採血 手順 方法 手技

①患者さんのところへ行き採血の説明を行う
※運動後や入浴後をさけなるべく朝食前採血が望ましい
(食事入浴により血清タンパクの上昇や激しい運動により乳酸値 ピルビン酸などの作成やLDH・CK・ASTなどの値が高く出てしまうことがあるため。)

②駆血帯を使用し手を縛る
※駆血することにより血管を怒張(静脈血を鬱滞)させ採血しやすくする
※1分以上駆血帯をまかない
(うっ血により血液組成に変化がでる危険があるため)
(1分以内が望ましい理由=JCCLS標準採血法ガイドラインより)
※駆血帯を強く締めすぎない。駆血帯をしめたときに橈骨動脈が触れる程度が望ましい 理由は動脈から静脈に血が流れるため、動脈血が入らないくらい縛ってしまうと、採血する静脈も血の量が減ってしまうため。

③採血するところが決まったらアルコール綿を使用し消毒する
(アルコール過敏症・アレルギーを患者さんに確認しアレルギーがあるようであれば他の消毒薬を選択する。)

③患者に親指を中に入れて手を握ってもらう
(中にして握ることにより前腕部の筋肉が収縮し血管が怒張し採血しやすくなるため)
クレンチング動作(手をグーパーグパー)により筋肉や細胞内からカリウムが流出しカリウム値が上昇する(個体差あり0.4~0.7等)

④針を刺し必要量採血をする。
(15度から20度の角度で刺し血管の走行に沿って3mm程度針を進める)
(患者さんに針を刺しますよと説明+針を刺すときはゆっくりさすのではなく、すっと差し込むと痛みを軽減することができる。)
(人にもよりますが血管に入るときに弱い抵抗を感じることができます。または血管が細い人では翼状針などを使用し逆血を見るとわかりやすいです。静脈に入ったら、さらに5mm程度針を進め採血を行うと血管から抜けずにすみます。ただし、血管が細い人などではそのまま採血をしたほうが血管から抜けずに採血をすることができる場合がる。)
◎神経損傷のリスクをより低くするために、針を刺入した時にしびれや強い痛みの有無を確認

⑤駆血帯を外しアルコール綿を穿刺部に置き、針を抜いてから穿刺部を素早く抑えるようにする
(駆血帯を先に外す理由は外してからでないと出血が多くなるため)
◎針を抜いてから穿刺部を抑える理由は針を抑えながら抜くと周囲の組織を傷つけ疼痛が増強するため)

⑥止血確認しテープで止める。
◎血管の弾圧が弱い場合、採血中に血管に入っているのに血がひけなくなることあり、その場合、針を刺したまま一度駆血帯を外し、ゆっくり出てくるので待つ。
◎上記のように血管の圧が弱い場合や血管が細い場合、下肢をあげたり採血する部位を心臓より低くし少ししてから採血するととれることがある。または採血部位を温め血管を拡張させ、末梢から中枢にむけてしごくと採血しやすくなる
◎真空管採血の場合、採血中は、採血管内の穿刺針が採血した血液に接触しないように注意する。さらにスピッツを抜いてから駆血帯を外すようにしないと、とった血が血管内に入ることがある(薬剤が入っているものもありその薬剤に真空採血管内は滅菌ではなく細菌汚染があるため、下記参照)

検体採血の順番
生化(青色)生化(桃色)凝固(黒色)血算(赤)血糖(灰色)
を採血する時
真空管採血でなければ、凝固してはいけないものから採血を行うが、組織液の混入が影響する、凝固(黒色)・血算(赤)の採血は、最初に行わない。
*真空管採血の場合
生化(青色)生化(桃色)(このふたつはどちらからでも良い)→凝固(黒色)→血算(赤=EDTA入り採血管)→アンモニア(緑=ヘパリン)→赤沈用採血管→血液型・抗体スクリーニング(紫=EDTA入り採血管)→血糖(灰色)→生化(青色)生化(桃色)→
外注(茶)交差試験(黄)の順に入れるようにする。
◎理由として真空管採血の場合ほぼ逆さにして針を刺すため中に入っている粉(血算や血糖にはい入っている)が針の所につき、別の真空管を入れた時に影響が出てしまうことがある為や凝固(黒)については採血時すぐの血には組織液が混入し、組織液は血液凝固を促進させるので正確な凝固検査ができなくなることと、真空管から針までの空気も入ってしまうため正確な採血量が取れなく値に影響をしてしまうため
◎凝固については、線まで採血を行う。多すぎても少なすぎても検査ができなくなってしまいます。
◎真空管採血について真空採血管が抜かれないまま駆血帯を外すと血液が体内に逆流することもある
◎採血の種類によっては氷中運搬や遮光するものもあり注意が必要

*採血のコツとして 採血を1回で取る方法
①駆血帯をして血管が出ない時または脈圧が弱い時
・しっかりと下肢を上げ血管を怒張させる
・それでも無理なら下肢を上げたまま反対側の手を見てみる
・それでも無理なら患者さんをベッドのはしによせて採血予定の手をベッドの柵より下に下ろし下肢を上げたまま採血予定の上肢を心臓よりさげ駆血帯をしめ採血する。
・それでも無理なら患者に座位になってもらい座ったまま足を駆血帯で閉め下肢から採決を行う。
(とにかく心臓より採血部位を低くすることにより血管を怒張させることが出来る。
+ しっかりと血管を見つけることが重要で、見た目で見えなくてもしっかり血管を触れられるようにすることで採血することが出来る)
・採血時途中で血が出なくなった時の対処として一度駆血帯をはずしゆっくり待つか、再度駆血帯を縛りなおすことで血が引けることがある。(採血始め時の脈圧が弱いと途中でひけなくなることがある)
・さらに自分で手を開いたり閉じたり出来ない人に対しては、看護師が手首を握ったり離したりすばやく繰り返すことで血管を怒張させることが出来る。